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2006年07月19日

約束を守る

« 約束を守る »、武道とはまさしくその通り、それのみである。

我が恩師、池田茂夫先生が私に教えてくださったときは、もう相当何年も前のことになるが、私自身には既にその信念があった。ただその本来の意味と大切さが判るには数年を要した。

長い間、私にとって« 約束を守る »ことと、« 言ったことを実行する »とは、同じ意味を持つと思っていた。しかし、そうではなく、約束の中で一番難しいことは、自分自身が心で決めたことを守り抜くことである。自分の心と自意識のみ以外に他に証人となる者がいない約束を貫くこと。

書いたものに署名をし、更に立会人まで同席した約束事さえ守れない者が多く存在するこの世の中、そのようなことを説明するのは、非常に難しいことである。そのような悪の誘惑に決して負けない姿勢こそが、唯一の答えとなる。それがたとえなかなか消えない苦い後口を残すとしても。

私の人生は、かなり以前からこの方向を目指している、そして徐々に、私の中の私自身のためにしか存在しない約束事と共に生きることを覚えた。日本語の« ヤクソク»は、フランス語の« ランデブー»(プロミス以外にアポイントメント)とも訳される、その意味の深さが理解できる。

武道の世界に入るからには、先ずその真髄であるこの価値を受け入れ、全うするべきである。
そして師匠は、伝承の請負人として、これを怠る弟子の行為を見過ごすわけにはいかない。事が重大な場合には、その弟子を脱退させるしかない« 破門 »。

このような任務を果たすとき、それを決断することは大変むずかしいことであり、心には常に深い傷が残る。なぜなら弟子が自ら選んだ道を逸れかけていることにもっと速く気づかなかった自分に責任を感じるからである。

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